聡明なご婦人

最初はDTPの基礎的な知識もご存じなく、それどころか「圧縮ファイルとはなんでしょうか?」というレベルの人だった。

初老のご婦人である。お話の内容によると以前は印刷業界にいたらしい。使っている用語から推察するにDTP以前の版下時代に現役だったようだ。

そういうお客様もわりと多いのだけれども、この方は一念発起してIllustratorを購入して勉強を始めたのだが、なんと半年もしないうちにプロフェッショナルなデータを作り上げるまでスキルアップしてしまった。

データもレイアウトを美しくするために、かなり複雑なガイドラインを引いていたり、グラデーション等の透明機能も完璧に駆使している。

デザインセンスこそ昭和の香りなんだけど、逆にレトロな感じがかっこよく見える。

いまだにペジェ曲線も満足に扱えない己のような愚者がいる一方、半年でプロフェッショナルレベルのスキルを持ってしまう人もいる。

地頭の良さは歳をとっても変わらないなぁと思ったりした晩秋の午後